★★★ 生活習慣病と食生活 ★★★
生活習慣病の原因は食生活にある
最近、高血圧症・脂質異常症(高脂血症)・高血糖症・肥満症・高尿酸血症・動脈硬化・大腸癌・潰瘍性大腸炎・
前立腺肥大症・乳癌・子宮筋腫・乳腺症・尋常性乾癬(アトピー)等の「生活習慣病」
が増加しています。
これらの生活習慣病に共通することは、現代人の食生活に於ける「動物性の脂肪とたんぱく質の過剰摂取」
が影響を及ぼしている可能性があるということです。
癌に関しては、大腸癌・前立腺癌・子宮癌などは、脂肪の摂り過ぎが発症のリスクを増大させている
と現代医学でも考えられています。動物性食品が多い食生活は、相対的に植物性食品の摂取量が少なく、
両者が表裏一体の関係をもって、生活習慣病の発症に関与しているものと思われます。
飽食の時代といわれる現代、偏った栄養の摂りすぎは問題です。
また、「動物性の脂肪とたんぱく質の過剰摂取」とともに問題になるのが「過食=総エネルギーの過剰摂取」です。
人間の身体はもともと過剰なカロリーに耐えられるようには作られていません。
特に日本人は西洋人に比べてその傾向が顕著です。だから軽度の肥満でも血糖値が高くなるのです。
たんぱく質や脂肪の摂り過ぎは、炭水化物の摂取に比べて、胃腸に負担を強いるので、
過剰摂取には注意しなければなりません。
さらに、過食は胃腸に負担をかけ、腸に「宿便」がたまってきます。
そして、長年にわたり、宿便を溜め込んだ腸は内部が狭くなり、変形してしまい、
このような状態になった腸は、蠕動運動をしないので、ますます宿便を溜め込むことになります。
「宿便」は、さまざまな症状を引き起こし、ついには、ありとあらゆる病気の発症につながってきます。
免疫力を上げ、寿命を延ばすのに有効な食生活は「少食」です。
このことは、科学的に解明され、現代医学、現代栄養学でも認知されています。
現代人が健康を損なって体調を崩し、さまざまな症状に日常的に悩まされ、そして発病する最大の原因は
「食生活」にあるといってもよいでしょう。
「生活習慣病」を予防し、健康を維持するためには、まず第一に『食生活の改善』が必要です。
生活習慣病の発症には10〜20年の無症期間があります。
つまり、発症前の生活習慣や食生活が病気の発症に大きく関わっているのです。
したがって、中年期の食生活の見直し・改善が、高年期に発症してくる病気への予防になります。
●食生活とメタボリックシンドローム
近年、栄養過剰や運動不足などの食生活や生活スタイルの変化が原因と考えられる肥満者の割合が、
急速に増加しています。肥満によって内臓脂肪が蓄積すると、その内臓脂肪から糖や脂質代謝異常、
血圧上昇だけでなく、動脈硬化を直接引き起こすアディポサイトカインが異常分泌することで
『メタボリックシンドローム』を発症します。
「メタボリックシンドローム」の定義は、2005年4月に日本内科学会をはじめとする8学会から発表され、
その基準は男性のウェスト周囲が85cm以上、女性では90cm以上で内臓脂肪蓄積を必須項目とし、
それに加えて、高トリグリセリド血症かつ/または低HDL-コレステロール血症、高血圧、
空腹時高血糖の3項目のうち2項目以上であるとしています。
内臓脂肪の蓄積した一個人が脂質代謝異常、高血圧、糖尿病などの疾患を2つ以上重複して発症していることが、
動脈硬化の強い危険因子であることが明らかになっています。
メタボリックシンドロームの背景には、わが国の生活習慣の欧米化の進展が大きくかかわっていることから、
生活習慣、とくに食生活の改善がその予防と治療にきわめて重要です。
内臓脂肪蓄積の解消、脂質代謝改善、高血圧改善、糖代謝改善を導く食品成分の積極的な摂取が必要だと考えられます。
【関連項目】 『メタボリックシンドローム』
●食生活改善に「食物繊維」
食物繊維に富んだ食事は容量が多くなり、咀嚼時間が長くなることで唾液や胃液の分泌量が増え、
結果として食塊の容量が増大します。とくに、水溶性食物繊維は膨潤することで内容物のカサが増え、
粘性を増して、内容物の胃内滞留時間を長くすることによって、食物の過剰摂取を抑制して肥満を防止します。
高い粘性を有する水溶性食物繊維は、小腸からの脂質の拡散を抑制して吸収を抑えます。
また、脂質の吸収に必須の成分である胆汁酸と結合し、胆汁酸の回腸からの再吸収を阻害して
脂質の吸収を抑制することで血中脂質濃度を低下させます。
また、水溶性食物繊維が大腸で発酵を受けて生成した短鎖脂肪酸のプロピリオン酸が、
血清コレステロール濃度を低下させることが報告されています。
つまり、このような作用によって脂質代謝異常を改善すると考えられます。
また、高い粘性は小腸からのグルコース吸収を緩慢にし、食後血糖の上昇を抑え、インスリン分泌を節約して、
糖尿病の予防や軽減に効果を発揮することがわかっています。
水溶性食物繊維のアルギン酸は、陽イオン交換反応により血圧上昇作用のあるナトリウムと腸内で結合して
ナトリウムの排泄を促進し、血圧上昇抑制作用のあるカリウムの吸収を促進することで血圧上昇を抑制します。
このように、水溶性食物繊維はメタボリックシンドロームすべての症状の改善や予防に効果を発揮する可能性があり、
メタボリックシンドローム予防の救世主となりうる食品成分と考えられ日常的な十分量の摂取が望まれます。
【関連項目】 『食物繊維』
●食生活改善に「からだによい脂」
食生活で油っこい食事や脂肪分の多い肉を摂り過ぎると体によくないことはよく知られていますが、
「動物性脂肪だから体に悪い、植物性脂肪なら安心」というわけではありません。
現在の栄養学では「動物性」や「植物性」とか、「コレステロールの多い少ない」ではなく、
動物や植物に含まれる成分「脂肪酸」の種類で脂肪分を分類しています。
脂肪酸は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に大別され、さらにこれらは、
T.飽和脂肪酸
U.不飽和脂肪酸の中のリノール酸
V.不飽和脂肪酸の中のエイコサペンタエン酸(EPA)に変化するα-リノレン酸
の3つのグループに大きく分けられます。
これまで飽和脂肪酸は健康に悪く、リノール酸は健康によいとされてきました。
しかし、飽和脂肪酸は人の体内でコレステロールを溜めにくい一価不飽和脂肪酸のオレイン酸に変わるのに対し、
不飽和脂肪酸のリノール酸は最終的にアラキドン酸に変わって、動脈硬化や高血圧症の原因になるので、
むしろ長期にわたって摂取する場合はリノール酸の方が問題があるといわれています。
ただ、飽和脂肪酸を含む食品はどれもカロリーが高いので、摂りすぎには注意が必要です。
一方、α-リノレン酸やエイコサペンタエン酸は中性脂肪を下げ、悪玉コレステロールを減らすので、
食生活の改善では、リノール酸をできるだけ減らし、α-リノレン酸やエイコサペンタエン酸を
多く含む食物を摂るようにするとよいようです。
ちなみに、エイコサペンタエン酸(EPA)は青背の魚に多く含まれています。
厚生労働省は、α-リノレン酸やDHA、EPAといった「n-3系脂肪酸」について、
1日あたりの摂取目安量を成人男性で2.2g以上、成人女性で2.0g以上と定めています。
【関連項目】 『オメガ3(n-3系脂肪酸)』
●食生活改善に「玄米菜食」
今日、健康的食生活を送るには、欧米型の肉や脂などが多い食事よりも、
穀類・野菜・豆類・イモ類・魚・海藻類などを中心とする「和食」の方がよいと言われており、
このことは、日本だけではなく欧米諸国でも認知されています。
特に、「玄米菜食」を基本とした食事、つまり、主食が玄米で副食が野菜や豆、
魚、海草、豆腐などの大豆製品やキノコ、といったような組み合わせが栄養面から見て
理想的な組み合わせであるとされています。玄米にはビタミンをはじめ各種の栄養素がバランスよく含まれており、
玄米に不足している栄養は副食で十分補うことができるからです。
また、「玄米菜食」には、大気汚染によるダイオキシン、食品添加物や残留農薬、
有機水銀などの有害物質を排出する効果、すなわち「デトックス効果」もあると考えられており、
「玄米菜食=和食」は食生活改善・生活習慣病予防にとって、格好の食事であるといえるでしょう。
【食生活改善に玄米】
生活習慣病などの病気を予防するには「免疫力」を強化することが必要であるとされ、
免疫力の強化には自律神経の「副交感神経」を優位にすることが有効といわれています。
玄米は、その副交感神経を優位にする食べ物の一つです。玄米には、ビタミンB1、B2、Eをはじめ、
脂質、リン、ミネラルが、白米より2〜4倍多く含まれ、食物繊維は6倍も多いのです。
特に、副交感神経を優位にする栄養は、マグネシウムやカリウム、カルシウムなどで、
これらも玄米に含まれています。そうした意味から、免疫力強化のためには玄米が最適なのですが、
炊き方が難しかったり食べたとき固かったりするのが難点です。そこで、5分づきや7分づきの玄米、
あるいは発芽玄米を白米に混ぜて食べれば、免疫力の強化に役立ちます。
玄米のうちでも特に「発芽玄米」には、脳の血流をよくする効用がある
「ガンマ-アミノ酪酸(ギャバ)」が普通の玄米の5倍も含有されています。
ふつう、ご飯(主食)といえば、おそらくほとんどの人が、白米を思い浮かべることでしょう。
ご飯と一口に言っても、白米・胚芽米・玄米などがありますが、栄養価の点で言えば、
実は白米はあまり高いとはいえません。玄米から米ぬかや胚芽を取り除いた白米は、ビタミン、ミネラル、
食物繊維、アミノ酸といった栄養素の多くが失われているからです。
極端に言えば、白米は「カス」のようなものです。
また、本来なら、玄米は「生」で食べることが望ましいそうですが、
玄米を生で食べることはかなり難しいので、市販の「玄米パウダー」などを利用してジュースに
混ぜて飲んだりするとよいようです。
【関連項目】 『発芽玄米』
【食生活改善と穀物】
穀物は食生活の中心的存在ですが、昨今、穀物を食べることの重要性が軽視されているようです。
1日に必要なエネルギーの半分くらいを穀物から摂取することは、脂肪やたんぱく質の過剰摂取を防ぎ、
ひいては生活習慣病の予防に有効なのです。健康の維持・増進に重要な食生活の基本は、主食としての穀物を献立の中心に置き、
そこに適切な量の肉・魚・卵・牛乳・野菜・果物・大豆製品・海藻などを組み合わせて食べることにあります。
【食生活改善と野菜】
食生活の改善に「野菜の摂取」は不可欠です。
野菜は各種ビタミンや食物繊維を豊富に含んでおり、食物繊維は血液中のコレステロール値や中性脂肪を
減らす効果があるので、1日に20〜50gを摂取するようにしましょう。
そのためには、野菜を300g摂ることで食物繊維の約60%を摂ることができます。
また、「野菜」については、「生のもの」の方がいいか、
それとも「加熱したもの」の方がいいかという議論があります。
どちらにもそれぞれ効用がありますが、健康増進・体調不良改善・病気予防効果となると、
「生の方が断然優位」です。その理由は「生の野菜は生きているから」です。
生の野菜をサラダにしてたくさん食べるのは大変ですが、野菜ジュースにすれば手軽に摂取できます。
できれば自分で手作りしたものをその場で飲むのが望ましいのですが、市販の野菜ジュースでもかまいません。
【加熱に注意】
「玄米菜食」は、欧米的食事に比較して「癌」になりにくい食事ですが、それでも癌になるケースが意外に多いそうです。
その理由は、「身体がアルカリ性に傾きすぎる」ことにあるようです。
玄米や野菜は中性食品ですが、加熱調理するとアルカリ性に傾きます。
体質がアルカリ性に傾くことで、癌になりやすくなるのです。
玄米・野菜を加熱調理して食べている人は同時に酸性食品をいっしょに摂ることによって、
体内の酸性、アルカリ性のバランスの調和を取ることが必要です。
【食品の酸性とアルカリ性】
よく、「アルカリ性食品を食べると身体によい」と言われますが、これは、身体が酸性に偏っている人が多いためです。
つまり、身体が酸性に偏っている人はアルカリ性食品を食べると中和されるということであり、
「アルカリ性食品は身体にいいが酸性食品は身体に悪い」というわけではありません。
言い換えれば、「身体がアルカリ性に偏っている人がアルカリ食品を食べると身体に悪い」
ということになります。したがって、食生活改善では「どちらの食品が身体にいいか」ではなく、
「酸性体質の人はアルカリ食品を、アルカリ体質の人は酸性食品を多めに摂る」
ことで、体質を中和させることが重要です。
●その他
朝御飯について、近頃では若い世代を中心に欠食が増えています。
平成17年国民健康・栄養調査では、1人世帯の20歳代で49.4%、30歳代で41.1%が朝食を欠食しているという結果
が出ています。さらに平成18年に策定された食育推進基本計画では、朝食を欠食する国民の割合の減少を目標としており、
朝食を食育推進の重点項目と見ていることがうかがえます。
また文部科学省では、平成18年から「早寝早起き朝ごはん」運動を推進するなど、
国としても朝ごはん重視の傾向が強くなっています。
●食生活改善関連項目
●食事療法
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